令和2年1月17日 総務省が募集した題記の意見募集について、以下のように意見を提出する。
1.総論
無線局免許手続規則の一部を改正する省令案に賛成する
ただし、今回の改正案においては、改正の主旨とその効果および改正案を実際に運用するにあたり、
不確実な点があるため以下の意見にて不明点を明確にするための意見を述べる。
2.意見1
「電波法施行規則の規定により許可を要しない工事設計の軽微な事項を定める等の件」
今回の改正においては、一度付属装置を付加し、付属装置(主にコンピュータ)のプログラムより
送信する電波形式を付加する、開局申請、変更申請を行い、免許された電波形式に変更の無い場合に
限り、付属装置のコンピュータプログラムから送信される通信方式の変更およびプログラムの変更に
ともなう軽微な変更の届出は省略できるとの事である。
1) これまでの変更申請のありかた
意見者は、かねてより付属装置のプログラムの変更により、デジタルテレビジョン、デジタル音声通信、デジタル符号化文字通信の変更申請を行ってきた。
この申請の具体的申請内容を審査する過程において、デジタル化における符号化方式について複数回
問い合わせを受けてきた。その取り合わせ事例は、
・デジタル符号化方式が広く公開されているいること
・デジタル符号化が秘話機能を持たないこと
この2点について、その事実を証明するための文献、資料を何度も提出を求められてきた。
今回の改正においては、一度付属装置を付加してたとえば「F1D」「F1B」「G1E」などの電波形式を
申請して許可された後には、付属装置のコンピュータプログラムの変更による軽微な変更の届出が
不要となる。この改正については、手続きの簡素化になることから賛成する。
しかし、付属装置の付加、変更について、過去のアマチュア局の無線免許手続きの変遷を考慮する
と、改正後の省令案ではどの無線局の免許手続規則を根拠にしているかが明確ではない。
よって以下の具体的事例を基に総務省の見解をただしたい。
2)付属装置の役割の変遷
付属装置付加に関係する過去の無線免許手続きの経緯を振り返ると、過去付属装置に相当する装置は、デジタル符号化などの信号処理を論理回路で構成したことから付属装置を付加すること自体の変更とその変更するためのデジタル符号化等の回路構成が重要であった。
現在の付属装置の装置本体は、送信機のマイクロフォン端子とコンピュータの音声出力を結線するた
めのインターフェイス機能、さらに接続するコンピュータ汎用品でありコンピュータ本体にはデジタ
ル通信の具体的仕様内容に関与する個所は無いに等しい。
しかし、コンピュータが実行するプログラムのデジタル符号化等の関係する具体的手順、プロトコル
(仕様)が記述してある。プログラムを実行するだれでもデジタル通信を実行できるようになってい
る。したがって、付属装置自体の有無は無線局の免許手続きの主旨を考慮すると付属装置の有無には
免許手続きについての具体的な意味と必要性は無いに等しい。
しかし、付属装置のコンピュータのプログラムには、デジタル符号化の手順、信号処理方法などの
デジタル通信のプロトコル(仕様)がほぼすべて含まれている。
よって、現在の無線局免許手続き規則では、このデジタル通信を行うプログラムのプロトコルが
アマチュア局にとって必要か否かの審査が必要であるのではないか。
3)付属装置の変更申請、審査のありかた
以上より、かねてより付属装置の変更に関係したアマチュア局の無線設備の変更申請の過程において総務省の審査官が懸念した「デジタル符号化の公開性」と「秘話機能を持たない事」の担保について、改正後はどのような手段によって行政として担保していくのか、またその根拠となる省令はどれにあたるのかはっきりと明示していただきたい。根拠を明示していただく理由は、繰り返しになるがアマチュア局においては、前記した2点の技術的要素は非常に重要な意味を持つためである。
もしこの根拠は不明確であるのであれば、本省令改正の目的は「「付属装置のプログラム変更」に関
わる軽微な変更申請が増大し、審査官の審査時間を要している人的問題の緩和」に関わる改正であ
り、改正の主旨が電波法の無線局免許手続き規則と合致しない可能性がある。
4)無線局免許手続きの本来の在り方
さらに、仮に「「付属装置のプログラム変更」に関わる軽微な変更申請が増大し、審査官の審査時間を要している人的問題の緩和」が本省令改正の目的であるのであれば、アマチュア局の定義は
「無線技術への興味に基づく自己訓練、通信及び技術的研究」にあるのであるから、無線装置は常に技術的に変化しつつ向上するべきであるかして、無線局の免許手続きにおける、無線局の工事設計書はそもそも省略して、我が国以外のアマチュア局を管轄する主管庁が行っているように、アマチュア
局の操作範囲、出力など最低限の制限でアマチュア局の免許を付与する方法に変更するべきである。
3.意見2
「電波法施行規則の規定によりアマチュア局が動作することを許される周波数帯を定める件」
「無線局運用規則の規定によりアマチュア業務に使用する電波の型式及び周波数の使用区別を定める件」「周波数割当計画」
今回の省令改正により、1.8MHz/3.5MHz/3.6MHz帯で運用できる周波数範囲が拡大したことについ
ては、省令改正についておおい賛成する。
しかし、今回拡大した周波数範囲については、「2次業務」「アマチュア局以外の無線局に妨害になってはならない」との注釈が付加されている。
具体的「アマチュア局以外の無線局の妨害」とは何かについて総務省の考えをただしたい。
1)1.8MHz帯でアマチュア局以外の割当状況と使用許可海域
現在の「無線局の目的又は用途等ごとの周波数一覧表(地域周波数利用計画策定基準一覧表)の検索」により、1825~1875kHzの周波数に割当られている無線局は、「2次業務」の「漁業用ラジオブイ」(無線標定)である。さらにこの周波数の割当規則では、詳細は避けるが日本の排他的経済水域(EEZ)の外側での使用に限るとの使用規則がある。またこのEEZ外で操業できる漁船のリストは農林
水産省の水産庁から公開されているが、
<http://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/sitei/>
このリストによれが、この水域で操業できる漁船でかつ、1825~1890kHzの「2次業務」
「漁業用ラジオブイ」の無線標定の免許を保有する漁船はない。さらに「無線局の目的又は用途等
ごとの周波数一覧表(地域周波数利用計画策定基準一覧表)の検索」よれば、
2) 「漁業用ラジオブイ」の使用海域を考慮した「アマチュア局以外の無線局への妨害」とは
さらにこの周波数の「漁業用ラジオブイ」の使用範囲は「日本のEEZ外」であり、かつ実際に操業する漁船がない。また、総務省が実行している周波数の1次業務、2次業務の相互の干渉の頻度、程度を具体的に調査してさらなる周波数の効率的利用を行う「周波数再編アクションプラン」との整合性考慮すると、現在1.8MHz帯に分配できるアマチュアバンドは、すくなくとも「1800~1912.5kHz」まで割当が可能であるのではないか。さらに前記したように、「日本のEEZ外」ある「漁業用ラジオブイ」について注釈にある 「アマチュア局以外の無線局の妨害」をどのように認定するのかを具体的に示していただきたい。
具体的に 「アマチュア局以外の無線局の妨害」 を認定する手段がないのであれば、この注釈は削除していただきたい。
3) 「アマチュア局以外の無線局の妨害」を削除できる理由
この注釈の 「アマチュア局以外の無線局の妨害」を削除できる理由は以下の通りである。
1875-1978.5kHzまで(アマチュアバンドを除く)の周波数はすべて「2次業務」「漁業用ラジオブイ」に割当られている。
なお、「国際電気通信連合が定める、日本が含む第3地域の国際周波数分配表」によれば、
1800~2000kHzで使用するラジオブイの無線標定移動局は「2次業務」である。
<https://www.tele.soumu.go.jp/resource/search/share/pdf/wari1.pdf>
「国際電気通信連合が定める、日本が含む第3地域の国際周波数分配表」 では、アマチュア局は
1次業務であると認識できるが、この相違点はどのような法令の根拠に基づいて分配されているのかを明確にしていただきたい。アマチュア局が分配の第一優先であると認識する。
以上を考慮すると、現時点で1.8MHzのアマチュアが利用できる周波数は、少なくとも
「1800~1912.5kHz」であるのではないか。
国際法上、最終的な周波数分配を決定するのは主管庁である総務省であるが、基本的に
「国際周波数分配表」の主旨にしたがって周波数分配するのが、
「国際電気通信連合に加盟している我が国の役割」である。以上より、 注釈の
「アマチュア局以外の無線局の妨害」を削除 できると考えるが、総務省が引き続き注釈の
「アマチュア局以外の無線局の妨害」この周波数では、「2次業務」「漁業用ラジオブイ」の
無線標定局が受ける妨害とは何かについて、具体的事例を提示していただきたい。
1.8MHz帯の周波数利用からアマチュアバンドの可能性を示した図を160m_Band.jpgに添付する。
3) 3.5MHz 3.6MHz帯のアマチュア局以外の周波数利用について
この周波数帯は、国際電気通信連合が定める 「国際周波数分配表」によれば、「3500~3900kHz」までがアマチュアバンドとして分配できる。しかし、日本は世界有数の漁業大国であり、この周波数帯は日本沿岸海域で操業する漁船を中心に利用されてきた経緯がある。これゆえ、現在でも気象庁(JMH)は気象情報を3622.5kHz 5kWで 操業する漁船に対して放送している。
4) Global Maritime Distress and Safety Systemへの移行
増大する通信情報を確実に伝達するためには、短波のモールスによる通信では限外があるとして、
1992年に国際海機関(IMO)は、航行する船舶と船舶を管理する海岸局、日本であれば海上保安庁の捜索救助機関を統合的連携することにより海上の安全を確保するための通信手段として GMDSS
(Global Maritime Distress and Safety System)という制度を発行しました。
日本では、1999年2月1日にGMDSSに完全移行した。この移行により、
「無線局の目的又は用途等ごとの周波数一覧表(地域周波数利用計画策定基準一覧表)の検索」に
よれば、以下の周波数分配となっています。
3687.5 kHz 3726 kHz 3757.5 kHz 3770 kHzは実際には利用している無線局がない。
5) 3.5MHz帯でのアマチュア局のデジタル通信の実態と新規周波数割当案との相違点
今回の省令改正案では、この周波数帯のデジタル通信の国際周波数との整合性を考慮していただき、3575~3580kHz 3662~3680kHzまでの拡大を検討していただいた。
しかし、この周波数帯のデジタル通信の国際共通周波数は、BPSKのデジタル文字通信では3580kHz(F1B)、ラジオテレタイプ(RTTY F1B)は3590kHzとなっています。
したがって、このモードでは国際周波数と異なるため周波数を送受信で海外局と分けて交信する不都合が継続して行われています。
6) 3.5MHz/3.6MHz/3.7MHz/3,8MHz帯のアマチュア業務以外の周波数利用の実態把握
過去3575~3599kHzまでは、航空自衛隊がA1A(モールス)での基地間通信として利用していた
経緯がある。しかし1990年当時の防衛白書より「通信の高度化」の方針により3575~3599kHzまでの
通信は、定時交信はなくなり、1年に1回ないし2回、頻度がたかくとも月に1回程度の交信により、
回線が利用できるかの「運用確認」を行ってた。この実態は、航空自衛隊の「業務日誌」を確認する
ことにより実態把握ができる。
加えて、平成29年度の電波利用調査においては、この周波数の利用頻度は「0%」であったことも
事実です。
さらに、2019年5月20日をもって自衛隊の前記した「回線の運用確認」も終了した。
また、前記したGMDSS移行前に海岸局が船舶局を一斉呼出する3612.5kHzを使用する海岸局はすでに存在していない。
一方、船舶局の一部GMDSSに無線設備が移行後も船舶局の免許上3612.5kHzの指定が残っている。
しかし、船舶局が交信する相手方は「海岸局」であり、その海岸局の3612.5kHzの免許が存在しない
限り船舶局は3612.5kHzの周波数を利用することができない。
7) 3.5MHz/3.6MHz/3.7MHz/3,8MHzの周波数利用と総務省の 「周波数再編アクションプラン」 整合性
過去の無線局と現在残存している無線局免許の実態を総合的に勘案すると、総務省が実行している周波数の1次業務、2次業務の相互の干渉の頻度、程度を具体的に調査してさらなる周波数の効率的利用を行う「周波数再編アクションプラン」と現在パブリックコメントを募集している
「公共業務用無線局等の免許状記載事項等の公表に係る制度整備のため、電波法施行規則等の一部を改正する省令案」その間に不整合が生じる。
8) 周波数を管轄する主管庁の総務省の行動の在り方
今一度、行政府の役割を国民の立場から考えると、「憲法における行政府、地方自治のあり方」より引用すると、
1.主権者たる国民は、全て地方公共団体の住民である。 国民主権の原則に基づく地域に関心を持つ住民の参画による地方自治の発展こそが、我が国の民主主義を発展させ、 国民福祉の増進を最大化するものであり、地方自治は、国政の三権(立法、行政、司法)との関係において 一定、尊重されるべき。
2.地方の統治を担う地方公共団体は、住民に身近な公共的事務について、 国民主権の原則のもと、住民から直接授権されている観点から、 自主的・自立的に処理する固有の権能が保障されるべき。
憲法における行政府(地方自治)の在り方をすみやかに実行するべき方針が、総務省の
「周波数再編アクションプラン」であり、この方針を機動的運用することが、行政府である総務省の役割ではないでしょうか。
9) 3.5MHz/3.6MHz/3.7MHz/3.8MHz帯のアマチュアバンド
以上を踏まえて、現在1.8MHzおよび3.5MHz/3.6MHz/3.7MHz/3.8MHz帯のアマチュアバンドが分割
され、国際電気通信連合の定める「国際周波数分配」とは異なる運用を続けている一方で、実際に使用していない周波数がこの周波数帯に存在する事実より、今回の省令改正で新たに周波数分配された
3575~3580kHz 3662~3680kHz以外の周波数をいつアマチュア局に分配するのかを具体的時期を示していただきたい。
3.5MHz/3.6MHz/3.7MHz/3.8MHz帯の周波数利用からアマチュアバンドの可能性を示した図を80_Band.jpgに示す。
これが、行政府である総務省の国民に対する責務であると主張します。
以上
日本のアマチュア無線ローバンドにおけるバンド拡張を考える
平成29年度電波利用調査結果(714MH以下)の考察 All Right Reserved
佐藤秀幸/JJ1RUF email: jj1ruf@arrl.net
佐藤 秀幸 (木曜日, 19 12月 2019 11:29)
岩田様
コメントありがとうございます。賛同いただき幸いです。
岩田泰典(JH2DFJ) (木曜日, 19 12月 2019 10:07)
私も、PLC問題には、疑問があり、また、アマチュアをはじめローバンド等にも雑音影響があるため、自家のメーター交換もスマートメーターへの交換は拒否して、従来のメーターに交換しましたが、、
この先、検針員廃止になるとスマートメーター化がさらに、推し進められます。
私の会社の業務局でも問題視しています。
今日、友人から連絡がきましたので、ほぼコピペベースでパブコメだします。