経済産業省の技術基準改正へのパブリックコメント募集結果が公表されました

特記事項:経済産業省の技術基準改正への意見の回答
5項の回答は、アマチュアからするとかなり大きな意味を持ちます。
「本改正案は、高速 PLC の適用範囲の新たな解禁や電力インフラ整備の推進を行うものではない」
経済産業省が12月19日に締め切った、PLCを電気用品として電力線に接続する「電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈」のパブリックコメントの結果が公表されました。
12件の意見がよせられました。
私の提出した意見は、3項で経済産業省からの回答では、
1.すべての消費者がPLCを使用するわけではない。
2.技術基準を変更したのものではなく、PLC機器の取り扱い方法を規定したもの。
3.本改正では、技術基準の改正行っていない。
4.本改正は、「屋内配線に限定したものである」よって屋外送電網のインフラには影響しない
5.本改正案は、高速 PLC の適用範 囲の新たな解禁や電力インフラ整備の推 進を行うものではない。
→総務省の情報通信審議会の答申では、屋外使用を前提としたもの答申であったと理解していました。しかし、今回の経済産業省の「電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈」では、PLCの屋外使用は含まれていないことが明確になりました。
→国内のPLC認定品では、アマチュアバンドにノッチフィルタが挿入されているので、PLCの妨害レベルは低いことが、過去の実験で確認されています。
パブリックコメントを提出した意味がありました。

 

ご協力いただいた皆様ありがとうございました。

高速PLC解禁するため、経済産業省の技術基準改正へのパブリックコメント

高速PLCは、電力線を所管する経済産業省の電力線技術基準の改正が必要であり、
その技術基準改正へのパブリックコメントの募集をしています。
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=595119121&Mode=3 
JARLは、総務省の省令改正時には意見をしていましたが、電力線を所管する経済産業省の
技術基準改正へのパブリックコメントはしていないようです。
電力線を所管する経済産業省が高速PLC導入への技術基準を改正しないかぎり、
高速PLCは実現できません。
いわば「最後の砦」であるわけです。 
 
★ここからが提出した「意見」です。
本意見の主旨に賛同いただける方であれば、この文章をコピーして、パブリックコメント
に意見を提出していただいてもかまいません。
皆様方のご協力にお願いします。

★意見箇所

PLC(Power Line Communication)を内蔵した電気用品の雑音の強さに関する基準値 について
 
  (4) 広帯域電力線搬送通信(高速PLC)機能を有する電気用品の場合 は、電波法施行規則
(昭和25年電波監理委員会規則第14号)第46条の2 第1項第四号に適合すること。  
★意見
この高帯域電力線搬送通信(以下高速PLCに略)は、総務省情報通信審議会 情報通信技術分科会 
電波利用環境委員会 高速電力線搬送通信設備作業班  の審議結果を反映している。
情報通信審議会の答申

本意見最終第7項に記載する「消費者目線での高速PLCの利点」を勘案すると、

本技術基準解釈の改正は不適当である。

特に電力線は公共のインフラストラクチャとして重要な機能であるため、今後我が国が直面する
「少子高齢化」「一極集中」「限界集落」「異常気象」に対応するためには、本技術基準の改正
を行い、仮に高速PLCが普及した場合、その公共インフラストラクチャを維持するための事業者
負担を最終的にするのは「消費者(国民」であることを強く意識した行政判断が求められる。
また、欧州、米国の事例を冷静に判断すると、高速PLCをこれから普及させる事業としての
事業者利益は低い。
 

 

1.高速PLCを解禁した場合の最大の問題点

高速PLCでは、これまで使用していなかった電磁波周波数 2~30MHz帯を利用することに
あり、この周波数帯は「短波」と呼び、現在短波放送による国際放送、航空機、船舶の
遠距離通信および宇宙より到来する電磁波による天文学で使用されている。
 
このため、高速PLCを解禁するためには、前記した既存短波無線通信への妨害、悪影響が
無いことを前提にして総務省情報通信審議会で議論された。
特に前提となったのは、CISPR(国際無線障害特別委員会)の規格を満足させ、無線障害の
原因となる各種機器からの不要電波(妨害波)の許容値と測定法を国際的定めたものである。
 
2.高速PLCを実運用している欧州、米国の実例と高速PLCの規格審議状況
欧州、米国では、すでに高速PLCが実用化されている事例があるが、前記したように
高速PLCで使用する電磁波周波数帯では既存の船舶、航空、電波天文による無線通信への
妨害を防止する措置を講じる(CISPR準拠)ことが必要なため、実運用事例は極めて
限定的であり、日本において高速PLCを現時点で解禁する効果は極めて限定的になる。
3.欧州、米国の高速PLC機器への規格審議経緯
→電力線のコモンモードの平衡度を特定するには、非常に その条件が複雑になるため、
 公的な規格を策定できていない。
 
4.情報通信審議会での審議の経過
この審議会では、高速PLC機器を開発して販売する企業と電力線を提供する側と高速PLCに
よるCISPR規格を満足できないため、電磁環境悪化による既存無線通信、電波天文を運用
する側の意見が対立した。
推進側
電波環境維持
 
5.審議の結果
最終的に高速PLC機器を販売、電力線を提供する側の意見を反映させ、特定の条件
(電力線のコモンモードが平衡状態を維持できる)、特定の場所(工場などの雑音が大きい場所)
では、CISPR規格を満足できるとした。
 
6.総務省 情報通信審議会の審議経過より「利用者目線」での高速PLCの問題点
消費者庁を所管する経済産業省においては、総務省の情報通信審議会の答申に対して、
より「消費者(国民)の目線」で本案件を検討するべきである。
1)高速PLCは、データ通信の通信路を既存の屋内電力線または、屋外電力線網を
  利用する点で通信路に支払う消費者利用料が不要または安価になるとの可能性がある。
  しかし、スマホに代表されるモバイル通信の発達により、通信路を「有線」→「無線」
  に移行している。
  よって、電力線を利用する利点は少ない。
  東京電力が示した高速PLCを利用する利点は非常に少ない。
2)都市一極集中、少子高齢化による、電力線インフラの維持への消費者費用負担が
  今後さらに増加する可能性がある。
  事実、総務省が所管の「固定電話」については、「限界集落」へのユニバーサルサービスを
  維持するための事業者のコスト負担が大きいことから、すでに「固定電話」の「有線」→「無線」
  化が行われている。
  同様に、電力線についても「限界集落」への電力供給への電力線を維持するための事業者
  負担が  大きくなり、行政による集落の移転が必須となり得る状況にある。
  このため、電力線への高速PLC機能を一度追加すると、今後さらに電力線を維持する
  ための  事業者負担が増加して、最終的にその負担をするのは消費者である。
3)都市部での高速PLC利点はあるのか
  都市部では、すでに「有線」では光通信網への転換が進められている。
  また監視カメラなどの解像度がより高精細な4kに移行しているため、高速PLCで実現できる
  数十Mbpsでの通信容量ではそもそも通信容量が不足する。
  また集合住宅では、固定電話回線を光通信への移行がすすめられているので、高速PLCへを
  利用する効果が低い。
4)電力線の通信路としての安定性への懸念
  近年、地球温暖化に起因すると思われる異常気象による、強風、落雷などによる電力線の
  破損(停電)=通信路断絶が頻発している。
  この回避手段として増々通信路の「有線」→「無線」への移行が進んでいる
7.結論および消費者目線での高速PLCを考慮した利点
 総務省情報通信審議会が審議した「高速PLC」では、あくまで技術的な観点での検討した
 だけである。
 このため、検討した項目は、
  1)既存無線通信への妨害低減、CISPR規格との整合性
  2)電力線を通信路として使用する効果
  を中心に行われている。
 よって、6項で記載した「消費者目線での検討」はなされていない。
 以上より消費者庁を所管する経済産業省においては、本技術基準解釈の改正を行う前に
  「消費者目線での検討」を行い、この技術基準の解釈が本当に
  「消費者(国民)の立場で有効であるのか否か」を検討するべき案件であり、総務省の
 検討結果を追認するのは不適当である。
以上